思考の流れ

文章には流れがある(小説とかでもそうだと思うけれど、ここでは解説文、論文、叙述文のことを考えている)。文章を読んで、頭の中で理解していくと、思考も流れていく。

思考の流れがスムーズで自然だと、ストレスなく、ストレートに理解できる。思考の流れがさえぎられたり、予期しない方向に曲げられたり、分岐したりすると、理解が妨げられる。スムーズに理解してほしいなら、妨げたりしないほうがよい。

文章の流れは、道路のようなものだ。広くてまっすぐで路面が安定していれば、その上をスピードを出して、ストレスなく走ることができる。曲がりくねったり、段差があったり、わき道が多かったりすると、走るほうも慎重になる。道を間違えたり、ガードレールにこすったり、行き止まりにぶつかったりするかもしれない。

文章の流れは、シンプルで、平明で、予測可能であるほうがよい。

(もちろん、複雑で枝葉と暗喩に富んだ文章を読み解く愉しみというのはあって、素敵な娯楽なのだけど、それはまた別の話。)

ところで、翻訳していて困るのが、日本語と英語の文章の流れの違いだ。どういう流れをスムーズで自然と感じるか、そもそも違うんだと思う。つまり日本語で考える人と英語で考える人の、思考の流れの違いだ。

結論が先とか、単複を意識するとか、(日本的な)敬語がないとか、まあいろいろあるわけです(ちゃんと勉強するといいんだろうなあ)。そのへんを無視して日本語化すると、とっても翻訳っぽい日本語になる。スムーズな日本語じゃないと感じる。