ある現場のチームで「チームのコアタイム」について質問を受けたので、簡単に紹介したいと思います。

『スクラム現場ガイド』で、チームのコアタイムを紹介しています。チームメンバーが全員そろっている時間を、ルール(ワーキングアグリーメントの一部)として決めるというものです。フレックスタイムのコアタイムにも似ています。

コアタイムがあると、コミュニケーションが確実にできる時間がわかります。ミーティングの予定を立てるときとか、誰かに相談したいというときに、コアタイム内に設定すれば基本的には全員そろうので、個別の調整をしなくてすみます。特にチームが離れた場所で作業しているときに、時間が節約できるようになります。(リモートはもちろん、同じビルだけどフロアが違う場合など)

さて、このコアタイムは、単にルールとして設定すべきというものではありません。コアタイムを設定するには、なんらかの動機があるはずです。外のミーティングが多いとか、個人や家庭の事情で朝遅い・夜早い人がいるとか、時差があるとか(中国チームがいるなど)。時間とコミュニケーションに関してチームが問題を感じたときに、使えるソリューション(のひとつ)がチームのコアタイムです。

スクラムチームが用いる“ルール”はいずれも、なにかしらの問題に対する解決策として採用するものです。ルールがあるほうがいいから……というだけでは、ルールを導入する十分な理由にはなりません。問題に対する解決策である以上、結果も求められます。問題が解決しないなら、そのルールはやめて他の方法を考えたほうがいい。

コアタイムを設定するときには、全員が無理なくいられる時間の共通部分を取ります。子供のお迎えの日は17時までという人がいるなら、コアタイムは17時までです。朝が弱い人がいるなら、その人が確実に来られる時間がコアタイムの開始です。時間を問わず打ち合わせが急に入る人がいたら、おそらくコアタイムは解決策にならないでしょう。

チームとプロダクトの状況はどうか(透明性、見える化)、なにが問題なのか(検査)、どんな解決策をとるか(適応)、解決策は効き目があるか(次のループ)。ルールや施策を考えるときは、この全体の流れを常に視野に入れておきましょう。