掃き出しふりかえり

プロジェクトの全体(1年くらい)をふりかえるレトロスペクティブをしました。通常のKPTから、ちょっとアレンジしたやり方をやってみました。タイムライン上に当時のプラクティスと問題を出して、現時点でのベストプラクティスと、これから解決すべき問題を抽出します。

時間軸上にバラバラと出した付箋から、現時点の線に向かって寄せて、抽出するイメージなので、掃き掃除、あるいは掃き出しふりかえりと仮に呼びます。

手順:

  1. プロジェクトタイムラインをホワイトボードに描いて、イベントを書き込む。
  2. 過去のふりかえり(毎週KPTをやっていた)の記録を、古いほうから順次見直して、そのなかで気になったこと(主にプラクティス)を付箋に書いて、タイムライン上に貼っていく。付箋は「現在の印象として、いいこと」「よくないこと」「中立」で色を分ける(今回は、いいこと=黄、中立=緑、よくない=赤)
  3. 付箋を移動して、上部によいこと、下部によくないこと、中央に中立をまとめる。時間軸はずらさない。
  4. よいことのうち、今でも実践していること(KEEP)をチェック。
  5. よくないことのうち、今でも残っていること(PROBLEM)をチェック。
  6. チェックのついたKEEPは、チームのベストプラクティスとしてまとめる。
  7. よいことでチェックがないものは、なぜやってないのか、もうやらなくていいのか、議論する。やるべきとなったら、これからやりたいこと(TRY)としてまとめる。
  8. よくないことでチェックがついたものは、どうしたらいいか議論して、これから解決する方法(TRY)としてまとめる。
  9. 最後に全員で、ひとことずつ感想を言う。
  10. ベストプラクティスとTRYとを整理して、目に見えるところに掲示する。
    • 紙に書いて壁に貼ったり、プロジェクトポータルやWikiに乗せたり。

このやり方をやってみて、以下のような効果がありました。

よい効果:

  • やり方が変化してきたことが実感できる。
  • いまやっているやり方が改善の結果で、現時点のベストだと実感できる。
  • 問題を解決してきたということが目に見えてわかる。
    • 今回やったチームでは、残った問題はほとんどありませんでした。
  • 今後も続けていくべきプラクティスがはっきりした。
  • ベストプラクティスでも、これからも変化する必要があると感じられる。
  • 過去の自分の気持ちを思い出して、現在と比較できる。
    • 一時期下向きだったが今は上向き、という感想があった。
  • 感想を言うことで、価値を共有できていることがお互いに確認できた。

問題点:

  • 中立で出したものは意味がなかった。
  • 誰もピックアップしないプラクティスが多くあった。
    • 時間配分の問題もある。過去のKPTの見直しに、時間をかけたほうがいいかも。
  • 過去のKPTを見るのに、プロジェクターで、ひとりの人がスクロールするようにした。見たいと思っても流れちゃうことがあったのではないか。
  • 新しいTRYが出ない。
  • もっとKEEP/PROBLEMを多く出せたほうがよい。わりと「穏当な」ものが多かった。
  • 残っている問題がほとんど出ない(うまくいっているチームでは特に)。

改善案:

  • タイムラインを書く段階でも、思い出したことを付箋で貼るようにする。
  • 過去のKPTの見直しに、時間をかける。
  • 過去のKPTを紙で用意して、みんなで回しながらバサバサと眺められるようにする。
  • 中立をやめる。どちらかに寄せることにする。
  • 中立をやめる。「個人的に気になる」という色を作る。
  • もっと場をあっためる。
  • ベストプラクティスを、単に今でも続けていることではなく、投票などで選ぶ(数が多い場合)。
  • もっとマシな名前をつける。

やってみた印象として、うまくいっているチームでは、「自分たちがうまくやってきた」ことの確認になって、モチベーション向上につながると感じました。また、うまくいっていない(と感じて落ち込んでいるような)チームの場合でも、時間とともに変化・成長できている部分に気づき、そのうえで残っている課題を整理するという効果があると思います。