エイミー・エドモンドソン
エイミー・C・エドモンドソンは90年代から心理的安全性についての研究をしています。書籍『チームが機能するとはどういうことか』(2014年)では、心理的安全性について以下のように書いています。
「「心理的安全」とは、関連のある考えや感情について人びとが気兼ねなく発言できる雰囲気をさす。」
1999年の論文では「チームの心理的安全とは、対人のリスクを取っても安全であるという、チーム全員の信念である」としています。このように、心理的安全性とは人間どうしの関係、主にコミュニケーションに関する状態を指す概念です。
心理的安全があるチームでは、以下のような状況が作られます。
- 心配や懸念がオープンになる
- 失敗しても支えてもらえる
- 全力を出せる、新たな挑戦ができる
- 成功と失敗の両方から全員が学ぶ
2014年の論文(Edmondson and Lei)では、心理的安全性についての研究をふりかえり、多数の研究結果をまとめています。心理的安全性は1960年代から研究が始まっていて、90年代以降急速に注目されるようになりました。60本以上の研究を調べた結果として、現時点(2014年時点)では以下のような考察がされています。
- 個人レベル、組織レベル、チームレベルそれぞれの研究があり、いずれのレベルでも心理的安全性は生産性などによい影響を与える
- 心理的安全性がより強い影響を与えるのは、仕事に不確実性がある場合かつ、人どうしの協調が必要な場合である
- 心理的安全性によって組織やチームでの生産性がもたらされるのは、組織やチームでの学習が促進されるためである
- 組織の学習はもっぱら、独立した個人どうしが関わり合う中で生まれ、そこでは対人リスクがない状態が望ましい
- 心理的安全性がある職場では、人が "Speak Up" する ―― 声を上げたり異を唱えたり、新しいアイデアを出したりするようになる
グループ(チーム)レベルにおいて心理的安全性を取り巻く要素が、次の図のように整理されています。(Google Draw) 心理的安全性の前提となる要素(リーダーシップや信頼など)と、心理的安全性がもたらす影響(学習やパフォーマンス)や、心理的安全性が効果を出すときに求められる要素(不確実性とリソース不足など)の関係を示しています。