Hubert Smits "Game Design Workshop"

これは午前中いっぱい(Thu 8.30-12.00)使うワークショップ。「教育、トレーニングのためのゲーム」というもの(これ自体があまり馴染みがなかったが)の紹介と、実際にゲームを作ってみようというもの。参加人数は1ダースくらい、7人ずつの2グループになり、それぞれでディスカッションしながら進めていく。
ゲームは http://www.thiagi.com/ で紹介しているものがベースとなっている。書籍も2冊紹介していたが、「これはとっても高いし、thiagi.comに十分情報があるから、そちらを見たほうがいいよ」というアドバイスをもらった。
最初に紹介した「ゲーム」は、Group Gropeというもの。グループで意見を一致させるためのものだが、内容としてはこれってゲームなの?というもの。

  1. あるテーマ(今回は「このセッションでなにを知りたいか」)に従って、各自がカードに書く。1枚に1つ、4枚書く。
  2. 全員分あつめ、シャッフルして1人3枚ずつ配る。残りはテーブルに並べる。
  3. 自分の手の中で、大事な順に並べる。
  4. テーブルに自分が大事だと思うものがあれば、手の中で1番順位の低いものと交換してもよい。
  5. 席を立って、自由に動き回りながら、他の人と手を見せ合って、相手のが気に入れば交換を申し込む。交換は誰と何回してもよいが、断られたら交換できない。
  6. 3人集まって、3人の手の中から、3人がもっとも重要と思う3枚を選ぶ。(最上位を1枚ずつ選んでもいいし、相談してもいい)
  7. 以上でグループ全体から、1人あたり1枚、「大事な」カードを選択したことになる。

いきなり自分の書いたものが手元からなくなってしまうので、自分の出したものを残したいという意識も働くし、そう思いつつ人のを見るとこれもいいなと思ったり、さらに人と交換する中で多くのカードを見られる。欲しいと思ったものが「これは私も大事だからあげない」と言われたりもして、意見の交換も発生する。なかなか面白いし、徐々に動きが大きくなっていくので(手の中→テーブル→人)抵抗も少ないかもしれない。
次にはGBG(Generic Board Game)というframegameの紹介があった。framegameとはゲームの枠組みだけ作ってあって、カスタマイズやコンテンツの自由度が大きいもの。GBGは一種のボードゲームで、スゴロク的にゴールを目指す。一連の手順やプロセスを教育するときに使う。一連のマスが手順やプロセスのステップに対応することになる。
これはワークショップで、「ScrumのSprint Planningを教えるためのゲームを作ろう」というものだった。GBGのコンテンツを、グループごとに作るわけだ。講師に質問したところ、通常はテーマのエキスパートが1人で作り、1時間〜2時間ていどで作れるそうだ。ただし、ゲームとして成立するように(要するに面白くなるように)調整するのが大変で、テストプレイと修正の繰り返しになるとのこと。
GBGは基本的なルールがある。手にステップを説明したカードを持ち、現在コマがいる場所に当てはまるカードを出す。カードを出したらコマを1つ先に進めるのだが、ほかのプレイヤーはそのカードが場所に当てはまらないとchallengeできる。challegeされたら、双方で議論して、カードが間違っていたらコマを1つ戻し、challengeした側が1つ進めるのだ。このchallengeによってゲームに不確定要素が導入され、勝敗を左右することになる。またここでchallengeするかどうか見極めたり、議論することでテーマそのものに対する理解を深めることになる。
ゲームを作るワークショップでも、実はテーマに関する議論が白熱した。計画作りの進め方なので、バックグラウンドによって様々なやり方があるのは当然だし、特に1人の人が自分のやり方を通すことにこだわり、その人を中心にかなり激しい意見の応酬があった。正直、ついて行けなくなったりもしたんだけど。ゲームを作ることそのものも、ちゃんと教育として機能しますね、これは。
thiagi.com にはほかにもいろいろなゲームが紹介されている(正直、他愛もないものが多いけれど)。いろいろな場面で利用できそう。