TDDBCをスケールさせよう!
10月5日におこなわれた、TDD Boot Camp 横浜 3rdに参加してきました。
今回は基調講演を務めさせてもらったのですが、どうして和田さん(id:t-wada)でなくわたしが講演を担当することになったのか、当日の懇親会LTでその辺の話をしました。したと思うんですが、たいてい酔っ払っていて何をどうしゃべったか、自分でもよくわかっておりません。そこで、あらためて記しておこうと思います。
TDDBCは和田さん依存?TDDBCは和田さんが作った
TDDBCは和田さんが中心になって作ってきた仕組みで、和田さん自身の努力もあって全国各地で開催される人気イベントになっています。TDDを普及させたいという和田さんの願いが着実に現実化しています。和田さんがTDD伝道師と呼ばれる由縁でもあります。
「TDDBCを始めたのはえばっきーさんだ」という指摘を頂きました。第1回の実行委員長に江端さんの名前もあります。当初の事情を知らずに印象で書いてしまいました。謹んで訂正します。
TDDBCは基調講演とワークショップという構成ですが、基調講演は和田さんが務めるというのが定例になっています。イベントが安定して人気があるのも、和田さんが基調講演をはじめ全体のとりまとめ、イベントとしての品質を高めている部分もあります。ある意味「和田さんのTDDBC」と捉えられていると言ってもいいんじゃないかと思います。
TDDはもっと普及させたいし、もっとTDDBCをやりたい。TDDBCをスケールさせたい。しかし和田さんは一人しかいない。
こうして、和田さんがいなくてもTDDBCを企画・開催できるようにしたいという想いが生まれます。基調講演も他の人ができないといけないわけです。実は和田さんとは、ずいぶん前から他の人が基調講演するという話をしていたこともあり、今回はわたしがやるという話になりました(と思ってます。選ばれた経緯は実はあまりわかってないので...)。
引き受けたのはいいけれど
それでまあ、決まったのは2ヶ月以上前だったんですが、どう話すかはずいぶん悩むことになりました。和田さんの基調講演は極めて完成度が高く、また「和田さん自身の物語」になっているので、おいそれとはマネできない。それではたぶん満足してもらえないし、「やっぱり和田さんのほうが...」となってしまう。
自分なりに漠然とですが要求を整理しました。
TDDBCのメインコンテンツは午後のワークショップ。基調講演は参加者がワークショップへスムーズに参加し、できるだけ多くのことを自分で発見するための誘導である。
とはいえTDDBCは入門セミナーであり、「もっとやりたい、学びたい」と思った参加者のための道しるべがほしい。
TDD実践とは個人的なコミットメントである(とUncle Bobが言ってた)。ワークショップも参加者個々人の経験である。だから基調講演にも個人的な物語を含めたい。
また事前打ち合わせで、今回のTDDBCを企画されたせとあずささん(@setoazusa 大中さん)から、こんなことを言われました。「基調講演では、午後のワークショップで使う要素や用語をきちんと紹介してほしい」 内訳はこんな内容です。
- 「動作するきれいなコード」への2つの道
- TDDのサイクル
- リファクタリングとは、および、書籍の紹介
- グリーンバンドのエピソード
- TDDのこころ
- TDDの真の目的
だいたいこのあたりで、「和田さんの資料をパクる。重要な要素は活かしながら、自分の話として語り継ぐ」という基本路線を決めました。あとは活かすべき要素を残し、自分なりの流れで再構成し、自分として話したい内容を足しました。そうしてできたのがこの資料です。
TDDBCをスケールさせよう!
今回の基調講演がどうだったか、自分なりには及第点以上やれたと感じていますが、あくまで評価するのは参加されたみなさんだし、参加された皆さんがTDDBCの後でどうされるかが評価だし、究極的には今後のTDDBCの姿につながっていく話だと思っています。まあ、大袈裟に言えば、ですけど。
今回TDDBC横浜3rdに参加していただいたみなさん、ありがとうございます。TDDBCよかったなーと思ったら、ぜひ次の機会にはスタッフやTAとして参加しましょう!TDDBCは「そんな技術力も完璧じゃないしTDDの先生でもないけれどTDDが好きだし熱意はある!」というスタッフ、TAに支えられています(いやもちろんスゴイ人もいっぱいいるんですが)。一度TDDBCに参加して、TAやってみたいと思えれば、十分にTAの資格があります!
スタッフ、TAとして準備して開催して運営していただいたみなさん、ありがとうございます。今回のTDDBCが「成功」だと感じたら、「和田さんがいなくてもTDDBCはイケる!」と声を大にして宣伝しましょう!そしてひとつのモデルケースとして、今回得たノウハウから他での開催に情報提供したり協力したりしていきましょう。
わたしの基調講演に「こんなのでもいいのか」とか「これも悪くないな」とか「この話もすればいいのに」とか「ここはつまらなかったな」とか、なにかしら思ったあなた。基調講演にチャレンジしてみませんか。和田さんの基調講演は偉大ですが、TDDBCという枠組みの中で決定的な位置づけではありません。それぞれのTDDBCにそれぞれの講演の位置づけとやり方があっていいと思います。「基調講演どうしよう」ではなく「どんなTDDBCにしよう」と考えると、いろいろなやり方が見えてくるんじゃないでしょうか。個人的には、もっと小規模にして、運営の負担を軽く、回数を多くできると参加しやすくならないかなあと思っています。
#tddbc タグを見ていると、参加された皆様も、開催を支えた皆様も、みんな「楽しかった」と言っていて、それが一番いいことだなと感じました。今回開催も講演も「お任せしたい」という希望を出しましたが、それは良い結果につながったと思います。この方針を今後も続けたいです。
— Takuto Wada (@t_wada) October 5, 2013
(それと「やっとむの基調講演も悪くないのでやってほしい!」と言っていただければ、それはそれで大変ありがたいので喜んでやりに行かせていただきます。さらに宣伝ですが、有償・企業向けのhttp://event.shoeisha.jp/aa/20131128/の講師陣にも参加していますので、会社での導入、業務としての導入にはこちらもご検討くださいませ。)
念のため補足しておきますが、これはあくまで私の意見であって、TDDBCの総意とかそういうものではないです。TDDBCは多くの人が関わって作られてきたものなので、いろんな意見が出て来たらいいなあとも思ってます。